初期症状は、風邪症候群様の症状を呈し、発熱、疲労感、頭痛、のどの痛み、消化器症状、咳、発疹など。症状は個人差が大きく咳は、発症初期は乾いた咳で有るが、時間の経過と共に咳は強くなり、解熱後も1ヶ月程度続く。年長児や青年では、後期には湿性の咳となることもあります。
合併症として中耳炎、関節炎、無菌性髄膜炎、脳炎、肝炎、膵炎、心筋炎、溶血性貧血、ギラン・バレー症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群などがあります。
“かぜ”症状で発病する感染症の病原菌で、肺炎では3番目、急性気管支炎では1番目に多いとされています。特に、肺炎は日本人死因の第3位を占め、生活習慣病に次ぎ大きな社会問題ともなっています。
従来は効果のあった抗生物質に対して耐性菌が多く出現してきている事などから、確実に、早期に診断-治療することがますます重要になってきています。
さらに、マイコプラズマ感染症の特徴は、感染したヒトの25%に、肺以外の疾患、つまり、皮膚炎、腎炎、関節炎、また神経症状を呈する髄膜炎や脳炎のような多彩な疾患の原因になり得ることです。経過もさまざまであり、急性期のみの症状から、難病(喘息・リウマチ性疾患・膠原病・神経疾患、アレルギー性疾患)も含む慢性炎症性疾患までの幅広い病像を呈するため、原因の特定が困難な場合も少なくありません。難治性疾患克服研究事業の臨床調査研究分野対象である130疾患においても、多くの疾患で、マイコプラズマ感染との関連が疑われています。
したがって、慢性化し難病に至る疾患に関連しているマイコプラズマ感染症を、いかに正確に、早期に、発見・診断し、有効な抗生剤療法の適応患者さんを治療に繋げられるかが非常に重要なポイントとなります。
・マイコプラズマ・ニューモニエ脂質抗原IgM抗体
・マイコプラズマ・ニューモニエ脂質抗原IgG抗体
・マイコプラズマ・ニューモニエ脂質抗原IgA抗体
・マイコプラズマ・ファーメンタンス脂質抗原IgM抗体
・マイコプラズマ・ファーメンタンス脂質抗原IgG抗体
・マイコプラズマ・ファーメンタンス脂質抗原IgA抗体
マイコプラズマ・ニューモニエ:肺炎の原因菌としてよく知られているマイコプラズマです。
マイコプラズマ・ファーメンタンス:尿道炎の原因菌としてよく知られているマイコプラズマです。
マイコプラズマ種に特異的な合成脂質抗原をもちいた、超高性能なマイコプラズマ脂質抗原に対する抗体測定法です。マイコプラズマ肺炎の患者さんでは、従来の検査法と比較して、より早期に診断できることがわかっています。マイコプラズマ脂質抗原に対する抗体を測定する研究検査であり、マイコプラズマ関連疾患の早期診断・治療に応用されることが期待されています。
症例 20代女性で、慢性疲労症候群の患者さん→本当の原因の特定・治療→関節痛、結膜炎、微熱(37℃)などが消失、白血球数1万以上が7800 。
症例 40代女性で、関節リウマチの患者さん、抗体医薬を2種類試みたが、症状悪化、RF 90→本当の原因の特定・治療→関節の腫れや痛みが著明に改善。RFは陰性。
免疫学、微生物学の最先端技術の実用化
マイコプラズマ脂質抗原
Mycoplasma lipid-antigens
合成糖脂質を用いる事で、従来の診断法の問題点であった特異性・検出感度・定量性を解決し、信頼度の高い測定法です。
従来の血清診断法であるマイコプラズマ抗体測定法は、培養したマイコプラズマ・ニューモニエからの粗抽出物を用いた測定法であるため特異性・検出感度・定量性が不十分であり、マイコプラズマ感染を早期に特異的に判断することが困難であるという限界がありました。
マイコプラズマ脂質抗原抗体が、経過観察マーカーとして使用可能です。定量的に抗体が測定可能なため、急性期のみではなく慢性期の病態の変化を診断する事ができます。この血液検査を行うことにより、疾患のマイコプラズマ感染症との関連の有無を予測することができ、関連がある場合は、今後の病態の変化の指標になります。
感染したヒトの25%に肺以外の、皮膚炎、腎炎、関節炎をはじめ、髄膜炎や脳炎のような神経疾患に至るまでいろいろな症状が見られることが知られています。さらに、喘息・リウマチ性疾患・神経疾患、アレルギー性疾患など炎症性慢性疾患との関連がわかってきています。
このように、慢性化し難病に至る疾患に関連しており、従来は効果のあった抗生物質に対して耐性菌が多く出現してきている事などから、早期に診断-治療することがますます重要になってきています。
難治性疾患克服研究事業の臨床調査研究分野対象である、130疾患のうち、ギラン・バレー症候群、IgA腎症、側頭動脈炎、自己免疫性溶血性貧血は、そのマイコプラズマ感染後の5-10% で発病しているとの報告があります。さらに、ベーチェット病、多発性硬化症(MS)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、サルコイドーシス、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、シェーグレン症候群、特発性血小板減少性紫斑病、悪性関節リウマチ、特発性間質性肺炎などが、マイコプラズマ感染との関連を疑われています。
慢性疲労症候群( CFS )とは,これまで健康に生活していた人に、強い全身倦怠感、微熱、頭痛、筋肉痛、精神神経症状などが起こり,長期にこの状態が続いて健全な社会生活がおくれなくなる疾患です。
CFS では発症時にしばしば発熱、咽頭痛、リンパ節腫脹などの急性感冒様症状が認められることや,集団発生の報告があることから,感染症の関与が疑われています。
主な症状は重篤な疲労(通常 6 カ月以上継続)であり、日常生活を妨げ、労作、運動、頭痛,、頭痛、その他のストレスによって増悪します。これにリンパ節の腫大、咽頭痛・頭痛・関節痛・筋肉痛などの痛み、微熱の他、物忘れ、集中力の低下、睡眠の困難など伴うことがあります 。
一般的な医療機関では、保険点数の関係で不十分な検査となり原因を究明するどころか異常を見つけることすらできません。そのため、精神的なものと診断され、抗うつ剤の処方など効果の薄い治療にとどまっている現状です。
感染症起因の慢性疲労症候群の原因としてマイコプラズマがあり、臨床医のための臨床症例定義とガイドライン( カナダの合意文書)では、マイコプラズマの診断と抗菌剤治療が組み込まれています。
マイコプラズマファーメンタンスは、尿道炎のみでなく、慢性疲労症候群、リウマチ様関節炎や筋委縮性側索硬化症などの原因になると報告されています。
関節炎は、関節の炎症をともなう疾病の総称です。症状には局所症状と全身症状があり、局所症状としては発赤、腫脹、圧痛、こわばり、可動域制限などが知られ、全身症状としては発熱、全身倦怠感、体重減少などがあります。
関節炎は細菌性関節炎(マイコプラズマなど)、結核性関節炎、慢性関節リウマチ、痛風、偽痛風、乾癬性関節炎、変形性関節炎など様々な病態があります。病態ごとに診断、治療が異なります。
関節炎の原因がマイコプラズマとして、抗菌剤治療が行われています。
血管炎による脳梗塞が知られている。血管炎としては、抗リン脂質抗体症候群、全身性エリテマトーデスによるものが若年性脳梗塞の原因として有名です。
マイコプラズマ感染の合併症として血管炎があります。
間質性肺炎は、肺胞と肺胞の間の. 結合組織に炎症が生じる病気です。 炎症が進行 すると結合組織に繊維化が起こり、. 肺胞の間は硬く、厚くなります。 このため肺全体の 弾力性が失われ、. 最終的には肺線維症を引き起こします。
単純X線撮影および胸部CTではすりガラス様陰影 ground-glass opacityが特徴的である。これは、比較的一様に濃度が上がった、ぼやっとした肺陰影である。進行すると線維化を反映して蜂巣状を呈するようになっていく。
関節リウマチ、全身性強皮症、皮膚筋炎、多発性筋炎、MCTDなど線維化を来す膠原病の一症候として間質性肺炎が出現する頻度が高い。特に皮膚筋炎に合併するものは急速に進行し予後が悪い傾向がある。
気管支喘息は、喘息に特徴的な症状は、発作性の呼吸困難、喘鳴、夜間や早朝に出現しやすい咳が特徴です。
喘息発作時にはこれらの症状が特に激しく発現し、死(喘息死)に至ることもあります。実際、全世界に3億人の喘息患者がおり、年間255,000人が喘息で死亡しています。
アレルギー反応や細菌・ウイルス感染などが発端となった気管支の炎症が慢性化することで気道過敏性の亢進、可逆性の気道狭窄をおこし、発作的な喘鳴、咳などの症状をきたす呼吸器疾患です。もともと気管支喘息がある場合、マイコプラズマ肺炎によって咳がひどくなり、喘息発作を引き起こされてしまうことが多いです。
肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae )は、急性肺炎の主要な病原細菌である以外に、喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)の増悪に関連する慢性感染が指摘されている。
喘息の既往のある子供は、マイコプラズマ感染により、喘息発作が生じたり悪化したりするので注意が必要。
髄膜炎は、無菌性髄膜炎と細菌性髄膜炎に分けることができます。ウイルス感染では無菌性髄膜炎と呼びます。細菌感染では化膿性髄膜炎が起こります。結核菌による結核性髄膜炎も あります。マイコプラズマ、真菌などによる髄膜炎などもあります。
無菌性髄膜炎とは、細菌感染以外の原因による髄膜炎であり、ウイルス、リケチア、 肺炎マイコプラズマ、真菌、原虫などの感染、自己免疫反応、化学物質の刺激による ものなどがあります。
関連リンク
IDWR感染症の話
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、>手足・のど・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉がだんだんやせて力がなくなっていく病気です。多くの場合は、手指の使いにくさや肘から先の力が弱くなり、筋肉がやせることで始まります。話しにくい、食べ物がのみ込みにくいという症状で始まることもあります。いずれの場合でも、やがては呼吸の筋肉を含めて全身の筋肉がやせて力がはいらなくなり、歩けなくなります。
有髄神経線維のミエリンがなくなる病気を脱髄疾患といい、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)は炎症性脱髄疾患です。マイコプラズマ感染に引き続いて発症することもあります。ALS、多発性硬化症との鑑別が必要とされています。
心筋炎は、感染症、中毒あるいは原因不明の心筋の炎症性変化。無症状のものから発熱、頻脈、呼吸困難などの臨床症状を示すものまである。特に急性心筋炎(acute myocarditis)は、特異的所見に乏しく、急性の転帰をたどることから、臨床上重要。
急性心筋炎は、無症状の場合もあるが、多くは感冒様症状(かぜ症候群) や消化器症状などの前駆症状を伴う。前駆症状の1~2週間後に、胸痛、心不全症状、ショック、不整脈などの症状を呈します。
マイコプラズマ感染の合併症として中耳炎、関節炎、無菌性髄膜炎、脳炎、肝炎、膵炎、心筋炎、溶血性貧血、ギラン・バレー症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群などがあります。
マイコプラズマ感染症稀ですが、髄膜炎、脳炎、腎炎、溶血性貧血などの重症となることもあります。
とじる前立腺炎.前立腺炎では慢性前立腺炎のなかに、通常の細菌検査で細菌が検出されない非細菌性前立腺炎と呼ばれるものがあり、クラミジアやマイコプラズマなどの微生物も原因のひとつと考えられています。
とじるマイコプラズマがHIV感染症を悪化させることや、マイコプラズマが免疫不全の原因になることなどが報告されている。
とじる 溶血性貧血は、赤血球が破壊されて起こる貧血。赤血球が破壊されることを溶血といい、本症は溶血で起こる貧血
なので溶血性貧血といいます。
基礎疾患には自己免疫疾患、リウマチ性疾患、リンパ増殖性疾患、免疫不全症、腫瘍、感染症(マイコプラズマ、ウイルス)などが含まれる。特発性で経過中にこれらの疾患が顕性化することがあります。
マイコプラズマ感染では、発症から2~3週後の肺炎の回復期に溶血症状をきたすことがわかっています。血中には抗マイコプラズマ抗体が出現し寒冷凝集素価が上昇する時期に一致します。
マイコプラズマ感染による皮膚症状としては、スティーブンス・ションソン症候群、蕁麻疹、不定形紅斑、多型滲出性紅斑等、多彩な皮膚症状がみられる。
重症多形滲出性紅斑
スティーブンス・ジョンソン症候群と中毒性表皮壊死症では薬剤や感染症などが契機となり、免疫学的な変化が生じ、皮膚・粘膜に重篤な病変がもたらされると推定されている。薬剤では消炎鎮痛薬、抗菌薬、抗けいれん薬、高尿酸血症治療薬などが原因となりやすい。感染症ではマイコプラズマ感染やヘルペスウイルス感染などが誘因となる。
マイコプラズマ感染症と、以下の疾患との区別が重要です。百日咳、結核などの感染症。COPD、喘息、肺がんなど。
マイコプラズマ感染症は、“かぜ”の症状で発病することが多く、長引く乾性のせきを特徴としています。マイコプラズマはほとんどの人に感染し、大人まででは97%が感染し、インフルエンザと同じように免疫は一生続くものでないため、何回も感染し重症の感染を繰り返すことも多くあります。
マイコプラズマ感染症についてよく知られている症状は肺炎です。マイコプラズマに感染して肺炎にまで進行するのは1-2%すぎませんが、肺炎の原因の約20%はマイコプラズマ感染によるものだといわれています。
特に、小児において早期に髄膜炎などの合併症や慢性化にたいして、診断-治療することは非常に重要ですが、従来の血清診断法であるマイコプラズマ抗体測定法は、特異性・検出感度・定量性が不十分であり、マイコプラズマ感染を早期に特異的に判断することが困難であるという、限界がありました。
とじる薬剤耐性マイコプラズマの流行、慢性疲労症候群などの難治性慢性炎症疾患との関連など、マイコプラズマ感染症に対応したワクチンの開発が、必要と考えています。
マイコプラズマ感染症用ワクチン特許 国際公開2010/140377(WO2010/140377)
エムバイオテック株式会社・独立行政法人産業技術総合研究所・国立感染症研究所
独立行政法人 産業技術総合研究所 タスクフォースプロジェクト
厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業
特定疾患の微生物学的原因究明に関する研究班分担研究報告書
マイコプラズマ感染と特定疾患の関連性についての研究
Mycoplasma fermentans生菌投与ウサギを用いたリウマチ性疾患モデル開発の検討
第82回日本細菌学会総会
Mycoplasma fermentans生菌投与ウサギを用いた関節炎モデル開発と抗糖脂質抗
体の解析佐々木裕子・永田典代・網 康至・須崎百合子・松田和洋・荒川宜親 (2010)
Encyclopedia of Life Sciences Antigens: Lipids
Kazuhiro Matsuda Research and Development, M Bio Technology, Inc., Tokyo, Japan.
Molecular mechanisms of lipid-antigen recognition are important in the frontier of immunology. Possible pathogeneses of autoimmune diseases and tumours now include infections with microorganisms. Therefore, the role of vaccines is increasingly important, as advancing technology has now broadened the targets of vaccination to include a greater number of infectious diseases, tumours, chronic infections, autoimmune diseases and allergies. In order to prevent infectious diseases through vaccination, it is important to identify specific antigens which often exist in the cell membrane and capsule and also become the centre of host-pathogen interactions. Structural analysis of lipid-antigens is critical for understanding the mechanisms of molecular interactions involved in the pathogenesis of immune abnormalities, and for devising strategies surrounding immune system regulation and drug discovery. (This article has been accepted and will be published at 2011.12.15.) eLS is published by John Wiley and Sons Ltd.
*eLS (formerly known as the Encyclopedia of Life Sciences) is a monthly-updating reference work containing over 4800 specially commissioned, peer-reviewed and citable articles written by leaders in the field
マイコプラズマは特異な脂質抗原をもち、また、脂質抗原はNKT 細胞を介して免疫調節機構に働き感染症・自己免疫疾患・がん免疫において重要な役割をしています。 私たちは、この脂質抗原を発見し、構造決定および合成に成功し、マイコプラズマ感染症の高感度診断法の開発と病態解明をおこなっています。
マイコプラズマ・ニューモニエからは、GGL Glc-typeとGGL Galーtypeの2種類の抗原糖脂質を、また、マイコプラズマ・ファーメンタンスからは抗原糖リン脂質(GGPLs: GGPL-I および GGPL-III)を発見し構造解析しました。 GGPL-Iはグリセロ型の糖脂質を基本骨格に持ち、糖の6位にホスホコリン基を、,GGPL-IIIはホスホコリン基の間にさらにホスホセリノール基を有するさらに高次な構造です。
これらの脂質抗原を用いて、マイコプラズマ・ニューモニエおよびマイコプラズマ・ファーメンテンス感染による抗体価を測定する方法を確立しました。 マイコプラズマ・ニューモニエ感染症については、既存の診断薬に比べて、特異性・感度とも高いことがわかってきました。 この特異的・高感度・定量的な診断システムによりマイコプラズマ感染症の分子機構が明らかになり、新しい診断-治療法につながると考えられます。