現在、マイコプラズマ感染症に対する従来の検査法には、以下のように問題点が多いことがわかっています。米国の疫学防疫センター (CDC: Center of Disease Control and Prevention) の認識でも、「マイコプラズマ感染症については感度のよい診断薬がない」と記されています。
新しいマイコプラズマ感染症血清抗体測定法の特徴
マイコプラズマ感染症は、急性から慢性への多彩な症状を呈する。つまり、インフルエンザと比べ病期長びくという特徴がある。したがって、抗体の精密定量測定は、抗原や菌の検出法よりも、全身状態の変化を定量的にとらえることが可能であり、患者の診断や治療効果の判定には有効であると考えられます。
さらに、抗体検査法では、血清中の抗体を測定するため、全身の状態を正確に比較検討できる。従来の抗体測定法では、抗原の特異性の限界から、非特異的な抗体反応をもとらえてしまい、マイコプラズマ感染症そのものの状態の把握が難しかった。
マイコプラズマ特異的糖脂質抗原GGL Glc-typeを固層化したELISAシステムを確立しています。
新しい検出法は、合成糖脂質を用いる事により、従来の診断法における特異性・検出感度・定量性の問題点を解決した超高性能なマイコプラズマ脂質抗原に対する抗体測定法です。
このマイコプラズマ抗体価の変動を定量的に測定することが可能な高感度ELISA診断法を確立し、実際に、小児マイコプラズマ肺炎の患者血清を検討したところ、従来法より早期に診断が可能になりました。
感染状態のモニタリングによる病態把握
マイコプラズマ感染症に関連する肺炎や喘息を診断・治療するためには、定量的に感染状態をモニターできる特異的な測定方法が必要である。従来の方法ではむずかしかったが、この定量的な抗体測定法は、疾患の活動性の指標となり、急性期のみではなく慢性期の病態の変化を診断する事ができる。つまり、マイコプラズマ脂質抗原の抗体測定法は精度の高い経過観察マーカーとして使用可能である。
この新しい検査により、疾患とマイコプラズマ感染症との関連性を診断することができ、関連があると判断された場合は、抗生剤治療の適応判定と今後の病勢変化の指標になる。
喘息患者、リウマチ性疾患患者、多発性硬化症患者の血清の抗体価のマイコプラズマ抗体価の変動を測定し、これらの疾患の中に、病状の変化と抗体価の変動に関連が認められる症例があることを確認しています。
また、LAMP法:PCR法については、検体の採取時期・場所・手技によっては、検出されないことがあります。なぜならば、マイコプラズマ感染症は経過が長く、生菌が咽頭から検出されるのは初期のみだからです。
臨床共同研究を推進して厚生労働省への申請および保険適応への許認可を得るための基礎データの蓄積を行っています。ライセンス契約を日本国内だけでなく海外にも展開し、診断薬の実用化とにむけて提携を進めています。
・マイコプラズマ診断技術(研究用試薬)について、臨床検査センターへの販売事業を進めます。
・マイコプラズマ・ニューモニエの抗体診断薬の事業化について、製造・販売に関するライセンスおよび事業提携契約を進めます。
・診断薬によるマイコプラズマ感染症の全体像を明らかにし、診断薬、治療薬やワクチンの市場を開拓します。
マイコプラズマの生化学的な解析から、非特異的な炎症誘導成分を除外し、急性毒性がない抗体誘導活性のある抗原特異性の高い成分を選択しました。合成脂質抗原をマウスに投与することにより抗体を得ることができ、その抗体にはマイコプラズマ増殖抑制効果があります。現在、動物を使ってワクチン効果を確認する実験を進めています。
これまで、マイコプラズマワクチンは、有効な抗原が同定されておらず、効果の判定がむずかしかったこともあり、開発が難しかった。私たちは、マイコプラズマに特異的な脂質抗原を用いて、ワクチンの技術開発を行いました。タンパク質ではなく、脂質の抗原、しかも合成抗原を用いたことは、世界初の技術であり、マイコプラズマ感染症の予防や治療が安全で効果的に行えます。既に特許申請済みであり、他の病原微生物にも応用可能なプラットフォーム技術の実用化です。
脂質抗原に対する安定したモノクローナル抗体作成技術を確立しています。
・抗原や抗体などの試薬・ライセンス契約におけるマイルストンおよびロイアリティー、アドバイサリー、コンサルタントの受託を行います。
これまでの研究の積み重ねから、脂質抗原精密解析に関連する設備、実験機器や備品を構築しています。
脂質抗原に関する特許、ノウハウ、設備を有しており、これらのプラットフォーム技術により、以下のようなビジネスが可能です。